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CMやドラマで耳にする《亜麻色の髪の乙女》|ドビュッシーの名曲を解説

ピアノ作品

こんにちは、響です!

《亜麻色の髪の乙女》といえば、ヴィレッジ・シンガーズの曲を思い出す方も多いでしょう。
でも実はクラシックにも同じタイトルの曲があるんです。

クラシックでの《亜麻色の髪の乙女》はフランスの作曲家クロード・ドビュッシーによるピアノ曲。
ヴィレッジ・シンガーズの軽快な音楽とは違って、繊細で夢のように美しい一曲です。

 

響

この記事では、このクラシック版《亜麻色の髪の乙女》について、
CMやドラマでの使用例を交えながらご紹介します。

 

《亜麻色の髪の乙女》はどんな曲?(ドビュッシーのピアノ曲)

《亜麻色の髪の乙女》は、クロード・ドビュッシーが作曲した《前奏曲集 第1巻》の第8曲です。
全12曲からなる前奏曲集の後半になります。

曲全体を包むのは、やわらかく、澄んだ空気感。
強い緊張や劇的な起伏はありません。
夢を見るような静けさの中で、時間がゆっくりと流れていく印象がある曲です。

ドビュッシーの前奏曲は、それぞれが異なる情景や感触を持っています。
《亜麻色の髪の乙女》はその中でも特に、やさしさや内省的な美しさが前面に出た一曲です。
聴く人に何かを強く訴えかけるのではなく、そっと寄り添うように響く――
控えめな佇まいが、この曲の大きな魅力といえるでしょう。

 

なぜこの曲は印象に残るのか

《亜麻色の髪の乙女》が親しみやすく感じられるのは、旋律の輪郭がとても素直で、追いやすいからなんです。

曲の冒頭から現れる旋律は、跳躍が少なく、なだらかに上下しながら静かに進んでいきます。
歌うような流れがはっきりしているのが大きな特徴ですね。
初めて聴く人でも「どこが主役の音なのか」を自然に感じ取ることができます。

調性は変ト長調で、黒鍵を多く使うやわらかな響きが特徴です。
音域も極端に高すぎたり低すぎたりせず、耳にとって無理のない範囲で旋律が語られていきます。

テンポも急がず、常に落ち着いているので、時間がゆっくり流れるような感覚になるんですね。
音楽を「追いかける」のではなく、自然に身をゆだねて聴くことができる曲です。

こうした特徴から、《亜麻色の髪の乙女》は、CMや映像のBGMとしても使われやすい曲になっています。
強い主張をしすぎず、それでいて空気の雰囲気をやさしく彩ることができる。
「どこかで聴いたことがある」と感じる人もきっと多いと思います。
その理由は、この曲が日常の場面に溶け込みやすい性格を持っているからかもしれません。

 

演奏で味わう《亜麻色の髪の乙女》

《亜麻色の髪の乙女》がどんな曲なのか。
YouTubeで公開されているもので探してみました。

今回はCANACANAさんの動画をご紹介します。
手元をアップで撮影されているので、演奏する時の参考にもなりますよね。

  

他にもいろいろな方が動画を公開されています。
お気に入りの演奏を探すのもいいですし、巨匠と呼ばれる方の演奏を楽しむのもいいですね。

YouTubeの動画もいいけれども、CDで楽しみたい。
そんな方もいらっしゃると思います。

この場合もいろいろな演奏がありますよ。
CDで聴くなら、《前奏曲集 第1巻》を通して味わるのもおすすめです。

 

自分で弾いてみたい人へ(難易度と楽譜)

ここで、改めて《亜麻色の髪の乙女》の難易度や楽譜のことをお伝えしますね。
まずは基本情報。

 

  • 題 名:プレリュード(前奏曲)集 第1集 亜麻色の髪の乙女
  • 原 題:Préludes 1 ”La fille aux cheveux de lin”(L.117-8)
  • 作曲者:ドビュッシー(Debussy, Claude Achille)
  • 調 性:変ト長調( Ges-dur / G♭ major)♭6個
  • 難易度:★★☆☆☆(全音基準:C)
        ★★★☆☆(ヘンレ基準:5)
  • 作曲年:1905年
  • 編成:ピアノ独奏

 

全音基準とヘンレ基準で、評価が少し違うと感じるかもしれませんね。
これは、どちらかが正しい・間違っているという話ではありません。
「どこを難しさとして見るか」という採点の視点が異なるためです。

全音は、学習者が実際に取り組みやすいかどうか、を考えています。
譜読みのしやすさや演奏上の負担を意識した目安として示されることが多いのが特徴です。

一方、ヘンレは原典版としての正確さを重視しています。
ですので、音楽的な表現やタッチの完成度まで含めて評価される傾向が強いです。
そのため、同じ曲でもやや厳しく感じられることがあるかもしれません。

こうした前提を知っておくと、両者の評価差も自然に受け取れると思います。

また、調号を見ると「フラットが6個もある」と思うかもしれません。
でも、これだけ数が多いと逆に楽なんですよ。
黒鍵が多くなると、指の形が自然に収まり、かえって弾きやすく感じられることもあります。
見た目ほど身構えなくて大丈夫な曲なんですよ。

1曲だけを弾きたいという場合は全音のピアノピースがおすすめです。
でも、全曲を通して弾きたい、という場合はヘンレ版を検討してみてくださいね。

 

「この曲、なんの曲?」と聞かれる理由

《亜麻色の髪の乙女》は、
「旋律ははっきり思い出せるのに、何の曲だったか分からない」
と言われやすいクラシック作品のひとつです。
その理由は、音楽そのものではなく、記憶の重なり方にあります。

まず挙げられるのが、邦題の印象の強さです。
「亜麻色の髪の乙女」という日本語のタイトルはとても詩的。
それ自体が、ひとつの物語や情景を想像させますよね。
そのため、クラシック曲名というよりも、歌や映像作品のタイトルのように記憶されやすい側面があります。

実際、日本では、ビレッジ・シンガーズの楽曲やシャンプーのCMなどで使われたイメージと結びつくことが多いです。
そのため、この曲の旋律だけが記憶に残っている場合もあります。
「亜麻色の髪」という言葉だけが強く印象に残っている人も少なくありません。

その結果、旋律を聴いたときに
「知っている気がするけれど、どの曲だったか思い出せない」
という感覚が生まれやすくなります。

また、《亜麻色の髪の乙女》は、テレビドラマや映像作品の中でも、使用されている曲です。
感情を強く説明するのではありません。
静かな場面を彩る音楽として、使われてきました。

その場の空気や余韻をそっと支える響き。
これは、映像の印象と一体になって記憶されやすいのも特徴です。

こうした背景が重なり合い、この曲は
「聴いたことはある」「どこかで流れていた」
という感覚だけが先に立ちやすくなっています。

だからこそ、改めてクラシック作品として向き合うと、
「これはドビュッシーのピアノ曲だったのか」
と、少し驚かれることも多いのかもしれません。

 

静かに楽しむ、大人のための一曲

《亜麻色の髪の乙女》は、長い時間をかけて取り組まなくても、短いひとときで音楽と向き合える一曲です。

忙しい日々の中で、
「今日は少しだけ弾きたい」「音に触れたい」
そんな気持ちに、無理なく寄り添ってくれます。
技巧を誇示する曲ではありません。
一音一音の置き方や響かせ方に、その人らしさが自然と表れます。

すでにどこかで聴いたことのある旋律だからこそ、譜面をなぞるだけで終わりになりません。
自分の音で味わう楽しさも生まれます。
音を急がず、余韻を大切にすることで、同じ曲でも印象が少しずつ変わっていくのを感じられるでしょう。

静かな時間に、静かな音楽を。
《亜麻色の髪の乙女》は、大人になってからこそ、ゆっくり付き合いたくなる一曲です。

 

響

結局、音楽って“歌うように奏でる”ことなんですよね♪

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

 

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