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ドン・ジョヴァンニ|有名アリア5選で描く“罪と救済のオペラ”

こんにちは、響です!

モーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ(Il dissoluto punito, ossia il Don Giovanni)》は、
“欲望と良心”、そして“罪と救済”を描いた、まさに人間の深淵をのぞくオペラです。

 

快楽を追い求める男、ドン・ジョヴァンニ。
彼に惹かれ、怒り、嘆く女たち。
そして、正義の名のもとに彼を追いつめる人々。

それぞれの思いが、モーツァルトの音楽によって
光と影のようにぶつかり、絡み合いながらひとつの物語を紡いでいきます。

 

このオペラには、笑いと恐怖、愛と裏切り、理性と狂気──
あらゆる“人間の二面性”が息づいています。
ここでは、《ドン・ジョヴァンニ》を彩る5つのアリアを通して、
モーツァルトが音楽で描いた“罪と赦しのドラマ”をたどっていきましょう。

 

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《ドン・ジョヴァンニ》これだけは覚えておいてね

《ドン・ジョヴァンニ》の基本情報ともいえるものをまとめてみました。
この作品は、モーツァルトと台本作家ロレンツォ・ダ・ポンテが手がけた「三部作」のひとつ。
《フィガロの結婚》《コジ・ファン・トゥッテ》と並び、
18世紀の社会風刺と人間心理を最も鮮やかに描き出した名作です。

 

基本情報

  • ジャンル:ドラマ・ジョコーゾ(悲喜劇オペラ)
  • 初演:1787年/プラハ、エステート劇場
  • 言語:イタリア語
  • 上演時間:約3時間(全2幕)
  • 代表アリア:ドン・ジョヴァンニ、レポレッロ、ドンナ・アンナ、ドンナ・エルヴィーラ、ツェルリーナ

 

項目情報
原題Il dissoluto punito, ossia il Don Giovanni(K.527)
作曲Wolfgang Amadeus Mozart
台本Lorenzo Da Ponte
形式2幕(序曲が付随)
編成歌手+合唱+オーケストラ

 

主要登場人物と音域

  • ドン・ジョヴァンニ:バリトン
  • レポレッロ:バス/バリトン
  • ドンナ・アンナ:ソプラノ
  • ドン・オッターヴィオ:テノール
  • ドンナ・エルヴィーラ:ソプラノ
  • ツェルリーナ:メゾソプラノ
  • 騎士長(石像):バス

響

それでは、《ドン・ジョヴァンニ》の世界を彩る5つのアリアを通して、
“罪と救いのドラマ”をたどっていきましょう。

第1章 《カタログの歌》──笑いの仮面をかぶる現実

《カタログの歌(Madamina, il catalogo è questo)》は、
第1幕でレポレッロが歌う有名なアリア。

主人の放蕩ぶりを数え上げるこの曲は、
一見コミカルでありながら、人間の欲望と虚しさを風刺しています。

 

聴きどころ
軽妙なリズムの中に漂う、どこか哀しげな旋律。
モーツァルト特有の「笑いながら泣かせる音楽」がここにあります。


 

第2章 《お手をどうぞ》──甘い誘惑の二重唱

《お手をどうぞ(Là ci darem la mano)》は、
第1幕でドン・ジョヴァンニがツェルリーナを誘惑する場面の二重唱です。

優しいメロディの裏に潜む、危うい駆け引き。
この一曲に、ジョヴァンニという男の“罪の美学”が凝縮されています。

 

聴きどころ
甘く溶けるような旋律の中に潜む緊張。
“誘う音楽”とはまさにこのことです。


 

第3章 《復讐の誓い》──ドンナ・アンナの決意

《復讐の誓い(Or sai chi l’onore)》は、
第1幕で父を殺されたドンナ・アンナが歌うアリア。

彼女の痛みと誇りが、劇中で最も力強いトーンで響きます。

 

聴きどころ
オーケストラの緊迫した和声と、アンナの決然とした声の対比。
“正義”という名の激情が、ここでは美しくも恐ろしい。


 

第4章 《彼女の平和を願う》──ドン・オッターヴィオの静かな祈り

《彼女の平和を願う(Dalla sua pace)》は、
第2幕でドン・オッターヴィオが歌うアリアです。

愛するアンナの心安らぐことをただ願う──
その静かな献身が、オペラ全体の中で唯一の“安らぎ”をもたらします。

  • このアリアは、ウィーン再演時に追加された曲でもあり、プラハ初演版では聴けない貴重な一曲です。

 

聴きどころ
穏やかな旋律と長いフレーズが、モーツァルトらしい誠実さを伝えます。


 

第5章 《私を裏切った人》──ドンナ・エルヴィーラの激情

《私を裏切った人(Ah, chi mi dice mai)》は、
第1幕で歌われるドンナ・エルヴィーラのアリア。

裏切られた女の怒りと哀しみ。
それでもなお、ジョヴァンニを愛してしまう彼女の矛盾。
このアリアこそ、人間の感情の複雑さそのものです。

 

聴きどころ
力強いリズムと劇的な展開。
モーツァルトの“激情の書法”が存分に発揮された名曲です。


 

よくある質問 — FAQ

Q
《ドン・ジョヴァンニ》はどんな物語?
A

《フィガロの結婚》《コジ・ファン・トゥッテ》と並ぶダ・ポンテ三部作の一つです。
放蕩者ドン・ジョヴァンニが女性を誘惑し続け、ついに天罰を受ける物語。
「自由」と「罰」という哲学的テーマを持つ作品です。

Q
どのアリアから聴けばいい?
A

《お手をどうぞ》で世界観を感じ、
《彼女の平和を願う》で静かな美しさを、
《私を裏切った人》で人間の複雑さを味わいましょう。

Q
恐ろしい場面もあると聞きましたが?
A

終盤の“石像の場面”では、騎士長が復讐のために現れます。
それはまさに「罪と死の対話」。
圧倒的な音楽的クライマックスです。

Q
初心者でも楽しめますか?
A

はい。笑いと悲劇が入り混じる人間ドラマなので、
物語を追うだけでも十分に楽しめます。

 

闇に差す光 ― モーツァルトが描いた“人間の赦し” ―

《ドン・ジョヴァンニ》は、
欲望と傲慢に満ちた男の破滅を描きながら、
その奥で「人間は何に救われるのか」を問いかけます。

 

作品の最後に現れるのは、騎士団長の石像。
「悔い改めよ」という言葉に頷かないドン・ジョヴァンニは、
炎の中へと引きずり込まれます。

たしかに、この場面は恐ろしい。
でも、この“裁き”があるからこそ、
モーツァルトは人間の自由と赦しの意味を、より深く響かせることができたのだと思います。

 

ドンナ・エルヴィーラの赦し、
ドン・オッターヴィオの誠実、
ドンナ・アンナの正義──
それらがぶつかり合いながらも、
最後に残るのは“愛という余韻”です。

 

モーツァルトは決して説教をしません。
ただ、音楽によって人間の弱さと尊さを静かに見つめています。

罪を憎んでも、人を憎まない。
それが、モーツァルトの優しさなんでしょうね。

 

響

人の心に潜む光と闇を、
あれほど美しく音にできた人は、彼しかいないと思います。

 

実はこの《ドン・ジョヴァンニ》には、
モーツァルト自身のユーモアもさりげなく織り込まれています。
第2幕では、《フィガロの結婚》の名アリア《もう飛ぶまいぞ、この蝶々》が引用され、
舞台の空気がふっと軽くなる瞬間があります。

あの場面には、モーツァルトらしい“遊び心と自嘲”が潜んでいる気がします。

 

響

結局、音楽って“歌うように奏でる”ことなんですよね♪

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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