こんにちは、響です。
《版画》は、クロード・ドビュッシーが作曲したピアノ独奏のための組曲です。
この組曲の中には《グラナダの夕べ》や《雨の庭》が含まれています。
耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。
《版画》は全3曲ですが、同じピアノなのに“光の角度”が変わるみたいなんです。
このあたりが、印象主義音楽の代表ともいわれる理由かもしれません。
ここでは、《版画》の基本情報と構成を整理していきますね。
版画とは
《版画》(Estampes)は、クロード・ドビュッシーによるピアノ作品です。
1903年に作曲され、のちに出版されました。
組曲を構成するのは全3曲。
独立した性格を持った小曲で編成されています。
それでも、全体として見ると、ひとつのまとまりを形づくっているのが特徴です。
《版画》の各曲は、オリエント、スペイン、フランスという3つの地域を連想させる曲になっています。
ドビュッシー自身、この3曲のタイトルが「とても気に入っている」と手紙に書いているほどです。
ただ、彼はオリエントにもスペインにも行ったことがありません。
それにも変わらず、それぞれの国をほうふつとさせる曲を生み出す。
これこそ、ドビュッシーの才能そのものなのかもしれませんね。
版画の構成(全3曲)
《版画》は、性格の異なる3つの小品から構成されています。
ここでは、それぞれの曲についてお伝えしていきますね。
第1曲 塔(Pagodes)
パリ万博で耳にしたガムラン音楽の影響を強く受けた曲です。
五音音階をつかった東洋風の主題が曲全体に流れています。
変化しながら繰り返されることで、独特の雰囲気を生んでいます。
▶ 第1曲 塔はこちら
第2曲 グラナダの夕べ(La soirée dans Grenade)
ハバネラのリズム、ムーア人の歌調、ギターの響き。
スペインの作曲家ファリャに「スペインを体現している」と言わしめた名曲です。
スペインの古都、グラナダをほうふつとさせるメロディーとなっています。
▶ 第2曲 グラナダの夕べはこちら
第3曲 雨の庭(Jardins sous la pluie)
フランスの童謡が引用された曲です。
繊細なアルペジオによって庭の木立にふりかかる雨が描かれています。
日本的なしっとりした雨ではなく、カラッとした印象もありますね。
▶ 第3曲 雨の庭はこちら
《版画》はどんな人に向いている?
《版画》は、音色や響きの変化を味わいたい人に向いたピアノ組曲です。
旋律を追うというよりも、色彩や雰囲気を感じながら聴くタイプの作品と言えるかもしれません。
たとえば、
という人には、とても相性のよい組曲です。
全3曲はいずれも性格がはっきりしています。1曲ずつ切り分けて聴くのも向いています。
通して聴くと、ドビュッシーの色彩感覚の豊かさがよく見えてきます。
ドビュッシーの世界にもう一歩だけ深く触れてみたい。
そんな人におすすめしたい組曲です。
楽譜を探すなら
《版画》はそれぞれに特徴的な3曲から構成されています。
楽譜を手に入れる時、どれを購入すればいいのか悩むこともあると思います。
悩んだ場合は、まず“個別”か“全曲”かを決めましょう。
それだけで、選びやすくなります。
組曲の中で、《グラナダの夕べ》《雨の庭》は単独譜やアレンジ版が多いですね。
組曲全体を通して演奏したい場合は、全音楽譜出版社版やヘンレ版などの全集・原典版。
こちらを選ぶのが定番と言えるのではないでしょうか。
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ドビュッシーの他のピアノ作品へ
ここまで、《版画》についてご紹介してきました。
ドビュッシーはこのほかにも、ピアノのための組曲や曲集を数多く残しています。
代表的なものとしては、
などが挙げられます。
いずれも作風や雰囲気は異なりますが、ドビュッシーらしい響きを味わえる作品群です。
気になる作品があれば、タイトルからそれぞれの解説ページをご覧ください。
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