こんにちは、響です!
モーツァルトの《フィガロの結婚(Le nozze di Figaro)》は、
“愛と嫉妬”、そして“身分を超えた機知”が交錯する、人生の縮図のようなオペラです。
恋する心は、貴族も召使いも同じ。
けれど、恋の駆け引きには笑いも涙もつきもの。
ここでは、《フィガロの結婚》の代表的な5つのアリアを通して、
モーツァルトが描いた“人間の知恵と愛のドラマ”をたどります。
そして、《フィガロの結婚》といえば、序曲というイメージの方も多いでしょう。
幕が上がる前から「笑い」と「愛」と「許し」を予告してしまう──
それほどまでに、モーツァルトの音楽は人の心を軽やかに動かします。
それこそ、モーツァルトの魔法です。
(その“幕開け”については、最後に少しだけ触れますね)
《フィガロの結婚》これだけは覚えておいてね
《フィガロの結婚》の基本情報ともいえるものをまとめてみました。
このオペラはモーツァルト作曲、台本はダ・ポンテが書いたものなんです。
ダ・ポンテ三部作、という名称を耳にされた方もいるのではないでしょうか。
基本情報
項目 | 情報 |
---|---|
原題 | Le nozze di Figaro(K.492) |
作曲 | Wolfgang Amadeus Mozart |
台本 | Lorenzo Da Ponte |
形式 | 4幕(序曲が付随) |
編成 | 歌手+合唱+オーケストラ |
主要登場人物と音域

次からは代表的なアリア5曲をご紹介します。
第1章 《もう飛ぶまいぞ、この蝶々》──恋の嵐を戒めるフィガロ
《もう飛ぶまいぞ、この蝶々(Non più andrai)》は、
第1幕で歌われるフィガロのアリアです。
伯爵から兵役を命じられて落ち込むケルビーノを、
フィガロが軽やかに励ます場面です。
聴きどころ
リズミカルで洒脱な旋律。
舞台の笑いを誘いながらも、人生の皮肉がのぞく一曲です。
第2章 《恋とはどんなものかしら》──ケルビーノの胸のときめき
《恋とはどんなものかしら(Voi che sapete)》は、
第2幕で歌われるケルビーノのアリアです。
思春期の少年が、伯爵夫人に恋心を打ち明けるこの場面。
メゾソプラノによる“ズボン役”が歌うことで、あどけなさと切なさが混じり合います。
聴きどころ
柔らかな弦と繊細な旋律。
モーツァルトの「愛の純粋さ」が最も美しく響く場面です。
第3章 《とうとう嬉しい時がきた》──スザンナの小さな勝利
《とうとう嬉しい時がきた(Deh vieni, non tardar)》は、
第4幕で歌われるスザンナのアリアです。
伯爵夫人の小間使いであり、フィガロの婚約者でもあるスザンナが、
自分の人生を切り開こうとする喜びを歌います。
聴きどころ
軽やかなテンポと明るい和声。
“女性の機知”が音楽になったような名場面です。
第4章 《愛の神よ、安らぎを与えたまえ》──夫人の祈りと孤独
《愛の神よ、安らぎを与えたまえ(Dove sono)》は、
第3幕で歌われる伯爵夫人のアリアです。
伯爵の心変わりに苦しむ彼女が、静かに祈るように歌います。
笑いの裏にある“愛するがゆえの痛み”が、静かな涙となって流れ出します。
聴きどころ
清らかな旋律と長い息づかい。
この曲を聴けば、《フィガロの結婚》が単なる喜劇ではないとわかるでしょう。
第5章 《さあ、ひざまずいて》──赦しのフィナーレ
《さあ、ひざまずいて(Contessa, perdono)》は、
第4幕の終盤で歌われる、伯爵が妻に赦しを乞う場面のアリアです。
「許しこそが、真の愛である」と語る、静かなクライマックス。
聴きどころ
全員がひとつに溶け合う合唱。
モーツァルトが描いた“人間愛の調和”がここにあります。
よくある質問 — FAQ
- Q《フィガロの結婚》はどんな物語?
- A
召使いフィガロとスザンナの結婚式をめぐる、恋と策略の喜劇。
階級を超えた“知恵と愛”がテーマです。
- Qどのアリアから聴けばいい?
- A
《恋とはどんなものかしら》で入門、
《愛の神よ》で感動、
《もう飛ぶまいぞ》で舞台の楽しさを感じましょう。
- Q《フィガロの結婚》の序曲も有名ですよね?
- A
はい。軽快なテンポときらめく弦が印象的な、開幕の名曲です。
幕が上がる前から“恋と策略のドタバタ”を予告するような音楽で、
モーツァルトのユーモアと人生観がぎゅっと詰まっています。
- Q初心者でも楽しめますか?
- A
会話のテンポが軽快で、登場人物の感情もわかりやすい!
恋愛ドラマを観るような感覚で楽しめます。
笑いと赦しの果てに ― 人の心が奏でる調和 ―
《フィガロの結婚》は、
理性と感情、身分と自由、そして男と女――
さまざまな立場や思惑が交錯する中で、
人の心の温かさと愚かさを描いたモーツァルトの傑作です。
このオペラには、
嫉妬に揺れる伯爵、哀しみを抱く夫人、
恋にときめくケルビーノ、
そして笑いで人生を乗り越えるフィガロとスザンナが登場します。
彼らの行き交う感情は、まるで一つの大きな合奏のよう。
怒りも嘘も、やがて“赦し”という和音に溶け合っていきます。
モーツァルトが描いたのは、
理想ではなく“人間そのもの”の愛しさ。
笑いと涙、誤解と和解、そのすべてを受け入れる音楽です。
どんな立場にあっても、
最後に人を救うのは“赦し”と“愛”だと教えてくれます。

人は間違うからこそ、美しく赦せるんですよね。
作曲された当時は何度も上演禁止になった作品です。
でも、根底に流れているのが“赦し”と“愛”だからこそ、長い間、愛されている作品になったのですね。

結局、音楽って“歌うように奏でる”ことなんですよね♪
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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