こんにちは、響です。
モーツァルトのオペラは、喜劇も悲劇も自由自在。
《フィガロの結婚》《ドン・ジョヴァンニ》《魔笛》──
曲を耳にすれば、きっと「あのメロディ!」と思い出すはず。
軽やかな旋律の中に、愛・嫉妬・裏切り・赦しが息づいています。まずは三大オペラから、その魅力を一望しましょう。
※音楽史では《コジ・ファン・トゥッテ》を含めた“ダ・ポンテ三部作”が重要ですが、ここでは一般に親しまれる代表作《魔笛》を取り上げます。
モーツァルトのオペラ 要点ミニ情報
モーツァルトのオペラは全部で21作品。
まずは、どのようなものか基本を覚えておきましょうね。
三大オペラの比較表―フィガロ・ドン・ジョヴァンニ・魔笛
モーツァルトのオペラで有名なものといえば《フィガロの結婚》《ドン・ジョヴァンニ》《魔笛》です。
それぞれの作品の特徴を一覧表にしてみました。
作品 | 年 / K | 言語 | 初演地 | 上演時間目安 | トーン | 代表アリア |
---|---|---|---|---|---|---|
フィガロの結婚 | 1786年 / K.492 | 伊語 | ウィーン | 約3時間 | 喜劇 (人間喜劇) | 《恋とはどんなものかしら》ほか |
ドン・ジョヴァンニ | 1787年 / K.527 | 伊語 | プラハ | 約3時間 | ドラマ・ジョコーソ (喜劇×悲劇) | 《お手をどうぞ》ほか |
魔笛 | 1791年 / K.620 | 独語 | ウィーン | 約2.5時間 | 寓話 (光と闇/試練) | 《復讐の炎は…》《パパパ》ほか |

入門はフィガロ、物語を楽しむなら魔笛、
深層のドラマはドン・ジョヴァンニがおすすめ。
三大オペラの代表アリア5選―入門ガイド
どのオペラにも魅力的なアリアがたくさんあります。
その中でも代表的といえる5曲のアリアをご紹介します。
モーツァルトのオペラ全作品 ― 喜劇から幻想まで
三大オペラでモーツァルトの世界を味わったら、次はその全体像を覗いてみましょう。 喜劇・正劇・幻想の各ジャンルに、若き天才の息づかいが刻まれています。
喜劇(Opera buffa/ジングシュピール)
笑いと恋、そして人の愛おしさ。 モーツァルトは、日常のざわめきの中に音楽の喜びを見つけました。
作品 | K | 言語 | メモ |
---|---|---|---|
みてくれの馬鹿娘(La finta semplice) | K.51 | 伊語 | 初期の恋愛喜劇 |
にせの女庭師(La finta giardiniera) | K.196 | 伊語 | 身分隠しの入れ替わり劇 |
牧人の王(Il re pastore) | K.208 | 伊語 | 祝祭的、アリアが魅力 |
バスティアンとバスティエンヌ(Bastien und Bastienne) | K.50 | 独語 | 田園の素朴なジングシュピール |
劇場支配人(Der Schauspieldirektor) | K.486 | 独語 | 芸術家の虚栄を風刺 |
後宮からの逃走(Die Entführung aus dem Serail) | K.384 | 独語 | トルコ趣味の救出劇 |
フィガロの結婚(Le nozze di Figaro) | K.492 | 伊語 | 人間喜劇の金字塔 |
コジ・ファン・トゥッテ(Così fan tutte) | K.588 | 伊語 | 忠誠試しの入れ替わり |
正劇(Opera seria/英雄劇・悲劇的主題)
神話と歴史の舞台に響く、崇高な旋律。 若き作曲家は、理想と宿命を音で描きました。
作品 | K | 言語 | メモ |
---|---|---|---|
ポントの王ミトリダーテ(Mitridate, re di Ponto) | K.87 | 伊語 | 最初期の英雄悲劇 |
アルバのアスカニオ(Ascanio in Alba) | K.111 | 伊語 | 祝祭的・神話世界 |
シピオーネの夢(Il sogno di Scipione) | K.126 | 伊語 | 徳と理想の寓意劇 |
ルーチョ・シッラ(Lucio Silla) | K.135 | 伊語 | 政治劇、対立の緊張 |
クレタの王イドメネオ(Idomeneo, re di Creta) | K.366 | 伊語 | 宿命と赦しの壮麗な悲劇 |
皇帝ティートの慈悲(La clemenza di Tito) | K.621 | 伊語 | 寛容を讃える晩年の名作 |
幻想(神話的・寓意的・哲学的オペラ)
光と闇、理性と感情――その狭間にある真実。 夢と象徴に満ちた物語が、モーツァルトの魂を映します。
作品 | K | 言語 | メモ |
---|---|---|---|
ツァイーデ(Zaide) | K.344 | 独語 | 未完、幻想的な香り |
魔笛(Die Zauberflöte) | K.620 | 独語 | 光と闇、理性と感情の寓話 |
その他(宗教的・実験的・未完など)
枠を越え、形式を探る試み。 若き日の習作から、晩年の断片まで、ここにも創造の鼓動が息づいています。
作品 | K | 言語 | メモ |
---|---|---|---|
第一戒律の責務(Die Schuldigkeit des ersten Gebots) | K.35 | 独語 | 宗教的道徳劇 |
アポロとヒュアキントゥス(Apollo et Hyacinthus) | K.38 | 拉語 | 最初期の学校劇 |
カイロの鵞鳥(L’oca del Cairo) | K.422 | 伊語 | 未完、序曲で知られる |
だまされた花婿(Lo sposo deluso) | K.430 | 伊語 | 未完の恋愛喜劇 |
ドン・ジョヴァンニ(Don Giovanni) | K.527 | 伊語 | 喜劇と悲劇の境界 (ドラマ・ジョコーソ) |
《魔笛》が永く愛される理由
《魔笛》は世界の上演記録でも常に上位。
光と闇/理性と感情の移り変わりを、わかりやすい旋律で描き切ります。
夜の女王の“怒り”も、母としての“愛”に通じる複雑さを内包。
善悪の境界が揺らぐ人間性が、現代まで共感を呼び続けています。

夜の女王は「音の刃」、パミーナは「息の長さ」。
同じ高音でも、美学が違います。
よくある質問―FAQ
- Qまずどれから観るべき?
- A
物語の軽快さなら《フィガロ》、入門の見やすさなら《魔笛》、
深いドラマ性なら《ドン・ジョヴァンニ》。
家族・子連れなら《魔笛》、テンポよく笑いたいなら《フィガロ》、2~3本目で深みに行くなら《ドン・ジョヴァンニ》。
- Q言語は?字幕は必要?
- A
伊語と独語が中心。
現在は字幕付き上演が一般的で、初めてでも追いやすいです。
- Qスコアや音源はどう選ぶ?
- A
学習・実演には校訂済み商用版を推奨。
録音は歴史的演奏と現代演奏を両系統で聴き比べると理解が進みます。

結局、音楽って“歌うように奏でる”ことなんですよね♪
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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